- ありきたりで平凡な表現ばかりで、文章がちっとも魅力的にならない・・・。
- ついつい慣用句に頼ってしまいがち。しかもバリエーションが少ない。どうにかならないの?
- 文章の表現力をアップさせる方法やおすすめ本を教えて!
こんな悩みに応える記事を書いてみました。
とはいっても、平易すぎて単調なばかりの文章だと読者の心に深く刻み込まれ、いつまでも残り続けることはできません。
そんなときに役立つのが、修辞法(レトリック)です。
この記事では、文章表現を豊かにするレトリックの具体的なテクニックや、トレーニング方法、おすすめ本などを紹介しています。
レトリックの面白さを体験すると、これまでとはまた違った形で文章と向き合うことができ、世界がぐっと広がったような気分が味わえます。ぜひ習得してどんどん活用してみてくださいね。
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修辞法(レトリック)とは?
文章表現をさらに豊かにするために使用される技法が「修辞法(レトリック)」です。
日本語では「文彩」とも呼ばれ、「言葉の綾(あや)」の「綾」も同じ意味になります。
Wikipediaには修辞法の例として以下の30項目が挙げられています。
- 比喩
- 擬態法
- 擬人法
- 倒置法
- 反復法
- 同語反復
- 首尾同語(反照法)
- 体言止め
- 反語
- 呼びかけ
- パラレリズム
- 押韻
- 語句の挿入
- 省略法
- 緩叙法
- 漸層法
- 対照法
- 敷衍(ふえん)
- パロディ
- 畳語法・畳句法・畳音法
- 疑惑法
- 誇張法
- 列挙法・列叙法
- 折句
- 史的現在
- 撞着語法
- 頓降法/漸降法
- 黙説
- 冗語法
- 転用語法
これだとちょっと多すぎて覚えづらいかと思いますので、この中でも特に効果的で使いやすい修辞法(レトリック)を10個に厳選してみました。
- 比喩
- 擬態法
- 擬人法
- 倒置法
- 反語
- 押韻
- 省略法
- パロディ
- 誇張法
- 漸降法
以下では、それぞれの修辞法について詳しく解説します。
おすすめの修辞法(レトリック)10種
比喩
レトリック=比喩と考えている人もいるほどメジャーな修辞法。様々な言葉や表現、出来事などを共通するイメージを持つ別のものに置き換えてたとえる技法です。
比喩表現はさらに、
- 直喩:〜のようだ。〜みたい。
- 隠喩:芸術は爆発だ。あきらめたらそこで試合終了ですよ。
- 換喩:霞が関(=官庁)、赤ヘル(=広島カープ)
- 提喩:花見(=桜)、ラッパ(=トランペット)
などに分類することができます。
よく用いられるのは「直喩」と「隠喩」ですが、自分なりの換喩を考えたり、拡大解釈(主語を大きく)しがちな人を発見するポイントとして提喩を使ったりすることで、より文章を深く掘り下げることができます。
擬態法
様子や音・声などを独特の言語で表現する技法が擬態法(オノマトペ)です。
擬態法はさらに、
- 擬態語:ふわふわ、きらきら、にこにこ
- 擬音語:ドンドン、バタン、ドカン
- 擬声語:ワンワン、ピヨピヨ
の3種に分類することができます。
一般的に擬音語はカタカナ、擬態語はひらがなで書くのがルールと言われていますが、このあたりはニュアンスの微妙な違いを重視して、その時時でどちらが適切かを判断すればいいかと。
オリジナルのオノマトペを自在に使いこなせるようになると、非常に個性が強く印象的な文章が書けるようになります。
※無音を「シーン」とはじめて表現した手塚治虫などが有名。
擬人法
物や動物などを人にたとえて表現する技法が擬人法です。
対象物をより生き生きと感情豊かに表現でき、読者がこれらを身近なものとして感じられるため、文章に限らず様々なシーンで「擬人化」のテクニックは活用されています。
逆に、共感できない対象を表現する技法として、人を物や機械のようにたとえる「擬物」のテクニックなどもあります。
倒置法
主語⇢目的語⇢述語という一般的な文法の順番を入れ替え、特定の単語を強調する技法が倒置法です。
最後の言葉に強くフォーカスが当たることで、文章全体のニュアンスも多少変わり、リズムの変化も生み出すことができます。
反語
あえて伝えたいことと反対のことを書いたり、それを否定したりすることで、より断定的に物事を表現する技法が反語です。
対照法(アンチテーゼ)も反語の一種と言っていいかもしれません。
皮肉のニュアンスを含むことも多く、書いた人(発話した人物)のキャラクターに個性を生み出すこともできます。
押韻
いわゆる「韻を踏む」というやつです。
元々、詩歌などで用いられていた技法で、文章にリズムを生み出し、読み心地の良さを作り出してくれます。
文頭や文末の音だけを揃える手法のほか、ラップのように複数の語韻を揃えるテクニックもあります。
また、音ではなく意味や語呂の合う言葉を用いて文章を作るテクニックは、パラレリズム(対句)と呼ばれます。
省略法
文章の一部をあえて省略することで、伝えたいことを強調したり、余韻を作り出す技法が省略法です。
省略された部分は、内容から推察できるため、単純に文章を短くする目的で主語や目的語などを省くケースも多いようです。
省略した部分に含みをもたせたいときなどは、該当箇所に「…(三点リーダ)」や「―(ダーシ)」を挿入します。
パロディ
有名なセリフやフレーズ、出来事などを引用して文章に面白みを加えるテクニックはパロディと呼ばれます。
文章だけでなく、作品全体をパロディの技法で作ることもでき、より対象へのリスペクトが強いものはオマージュなどとも称されます。
ときには毒のあるユーモアとともに用いられることもありますが、基本的には愛のある借用が推奨されます。
誇張法
物事を大げさに表現する技法は誇張法と呼ばれます。
もしわたしがある問題を解決するのに1時間を与えられ、しかもそれが解けるか解けないかで人生が変わるような大問題だとすると、そのうちの55分は自分が正しい問いに答えようとしているかどうかを確認することに費やすだろう
アルベルト・アインシュタイン
アインシュタインの名言は誇張ではないのかもしれませんが、こんな風に一般に思われているよりも大きな差を作り出すことで、伝えたいことをより印象的に表現することができます。
漸降法
肯定表現・並行表現などを列挙しながら、最後に落ちをつける技法を漸降法と言います。
コントなどの3段オチも漸降法に分類されます。
物事を否定するときに使われることも多いテクニックですが、全体的にユーモアが含まれるため落ちの落差ほどキツイ印象を与えないのが特徴です。
文章表現力をトレーニングするたった一つの方法
修辞法を使いこなせるようになるには、実際に文章を書きながらトレーニングするのが、やはり一番です。
その中でも僕が特におすすめしているのは、同じ文章を別々の修辞法で表現してみるという方法です。
ある特定の文章を、
- 比喩:何かにたとえられないか?
- 擬態法:何かの音で表せないか?
- 倒置法:文章の順序を入れ替えられないか?
- 省略法:削除できる言葉・表現はないか?
こんな風に様々な角度から見直すことで、同じ内容でも色々な伝え方があることを実感することができます。
このとき、まとめて一気に複数の技法を使うのではなく、一つ一つの技法にフォーカスして様々な修正パターンを作っていくのがコツです。
いくつかの修正案ができたら、それらを組み合わせて最も効果的(印象的)な文章を作ることができれば完成です。
文章力を鍛えるレトリック本7冊【超おすすめ】
レトリック感覚
レトリックに関して腰を据えて勉強したいならこの本がおすすめ。
とかくテクニックやノウハウ習得に走りがちな僕らの考えを戒め、レトリックの奥深さや本質を再認識させてくれます。
さらに深く掘り下げていきたいなら、同著者の『レトリック認識』『レトリックの記号論』『レトリック事典』と読み進めていきましょう。
日本語のレトリック
清少納言、夏目漱石、芥川龍之介、井上ひさし、宮部みゆきといった有名作家たちの作例をもとにレトリックの技法をまとめた本。
具体的な作品から引用しているので、レトリックに馴染みがない人でも理解しやすい内容になっています。
レトリックのすすめ
こちらも実際の小説などをもとにレトリックの手法を解説した一冊。
ピックアップしている修辞法を12個に厳選しているので、より初心者向けと言えるかも。
レトリックと人生
「レトリックが示すメタファーは、人生に指針を与えてくれる」という主張の一冊。
この本を読むと、日常の何気ないところにレトリック(メタファー)が溢れていることに気づきます。
表現のバリエーションを手軽に増やせる辞典7冊
てにをは連想表現辞典
一般的な類語辞典とは一味違い、様々な作品から抽出した文章表現を類語辞典風にまとめた本。
作品自体を知らなくても、文章表現だけで読み応えがあるのは流石の一言ですね。
感覚表現辞典
こちらは「感覚」をテーマに集められた文章表現辞典。
同じ著者の『感情表現辞典』『人物表現辞典』『語感の辞典』も非常におすすめです。
感情類語辞典
こちらは海外の作家を中心に「感情」にまつわる表現がまとめられた辞典。
こういった本を読み込めば、「言葉にできないもどかしさ」が少しは減らせるかも?
日本語オノマトペ辞典
擬音語や擬態語を4500語も集めた本。
よく耳にする(目にする)オノマトペから、思わず唸ってしまう個性的なものまで、めくるめく言葉の世界に浸ることができます。
文章表現を考えるときに役立つサイト・ツール5選
日本語表現インフォ(小説の言葉集)
カテゴリごとに様々な文章表現がまとめられたデータベース。
気になった表現は「しおり」をつけて保存しておくこともできます。
実用日本語表現辞典
いわゆる「現代用語」が詳しい解説とともにまとめられたサイト。
独特のUIが使っていて心地良いですね。
日本語のオノマトペ一覧 - write.kogu
様々なオノマトペが700種以上まとめられたページ。
詳しい意味などは載っていませんが、語感から自分で想像してみるのも楽しそうです。
ネガポ辞典
ネガティブな言葉を入力すると自動でポジティブな表現に変換してくれるユニークなアプリ。
書籍版もあり。Kindle Unlimited会員なら無料で読めます。
animatope(アニマトペ)
イラストやアニメーションでオノマトペを学べるアプリ。
お子さん向けのようですが、大人が遊んでも楽しめますよ。
使いすぎには、注意。
新しい知識やテクニックを覚えると、ついついどんなときでも使いたくなってしまうのが人の性。
しかし、無闇矢鱈と修辞法を多用すると、それぞれの効果が半減するだけでなく、読みづらい文章になってしまい本末転倒です。
いろいろな修辞法を使って表現方法をあれこれ模索するのは良いのですが、実際に用いるものは厳選に厳選を重ね、とっておきの表現だけに留めましょう。
みなさんも読者を唸らせる珠玉の文章表現を、ぜひ編み出してみてくださいね。
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