こういった方のために、「ですます調」と「である調」それぞれのメリット・デメリットや具体的な使い分け方についてまとめてみた。
今回紹介する方法は、あくまで目安。ぶっちゃけ文章力さえあれば、どの文体で書いても正しく効果的な文章を書ける。
こういった明確な正解がないことって、世の中多いよね。
ライターの仕事でも、たまに「文体はお任せします」とか言われるときがあって、正直迷う。
・・・そう言ってくるクライアントに限って、あとからインスタント感覚で「やっぱり◯◯に直して」とか言ってくる。お前は「晩ご飯、なに食べたい?」と尋ねてくる奥さんに「なんでもいい」と返すクソ旦那か。まあ、僕に文章力がないだけだったらゴメン。
というわけで、「ですます調」と「である調」の使い方に悩んでいる方は、この記事を参考すれば迷うことが減るはず。ぜひご一読あれ。
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ですます調・である調の正式名称
- ですます調:敬体
- である調:常体
覚えておくと「文章は敬体でお願いします」と言われたときに、「携帯・・・?」となって恥をかかずに済む。
ですます調のメリット・デメリット
丁寧な印象を与える
敬体=敬う(うやまう)文体なのだから当然。言わずもがな。
迷ったらとりあえず「ですます調」にしておけば問題ない。慇懃無礼にならないように注意しよう。
文章が柔らかくなる
カタい内容でもちょっと親しみやすくなる。外はふんわり、中はガチガチ。美味しくなさそう。
書き方次第では、逆に他人行儀な印象になることもある。怖い人が「ですます調」で詰めてくる様は迫力満点。
説得力に欠ける
たとえ断定口調だったとしても、「ですます調」は「である調」と比較して説得する力が弱くなってしまう。
自分で書いていても、ですます調になる時は内容に自信がない時が多かったりする。
文末(語尾)のバリエーションが少ない
ですます調で書くと、どうしても語尾が単調になりがち。
同じ文末表現は3回以上続けるべきではないので、体言止めや倒置法を使ったりして、なんとかバリエーションを作り出すしかない。
このあたりについては、過去の記事で詳しく解説しているのでよろしければどうぞ。
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文末表現に変化(バリエーション)をつける12の方法【具体例あり】
続きを見る
である調のメリット・デメリット
書き手の個性が出やすい
いわゆるモノローグ調で書けるので、書き手の内面や個性が出しやすい文体ではある。
仕事の文章では、逆に主観の強さが仇になることもあったりするので注意。
強く、引き締まった印象を与える
「ですます調」を「である調」に変えるだけで、書き手の自信や内容の説得力が増す。
語尾で弱めることもできる、かもしれない。←こういうやつ。
書きやすい
頭の中を敬語で考えている人なんていないと思うので、「ですます調」で書くときは、必ず一度、変換作業を行わなければならない。
「である調」は思い浮かんだ言葉をそのまま書き出していけるので、慣れると圧倒的に執筆スピードが上がる。詳しくは記事の最後で。
偉そう(威圧的)に感じる
断定の意味合いが強くなるので、命令的だったり反論を許さないような印象を与えてしまうことが多い。
おすすめの「ですます調/である調」使い分け方
ビジネス文書は「ですます調(敬体)」
仕事のメールや業務連絡、提案書・企画書、議事録など、日常的なビジネスのやりとりに関わる文書は、基本的にすべて「ですます調」で書く。
自社ルールがあればそちらを優先。お上には従おう。
会社内の文書だけでなく、ホームページの企業情報や商品・サービス紹介文なども「ですます調」で書く。お客様は大切に。
説明文や解説文は「ですます調(敬体)」
相手に理解してもらうための文章に関しては、なるべく丁寧な文体で書くべき。僕が言っても説得力がないけど。
論文・レポートは「である調(常体)」
説得力が重要なので、ですます調だとちょっと弱い。自信がないような印象を与えてしまう。
雑誌・ニュース記事は「である調(常体)」
必要な情報を簡潔に伝えるための文章には「である調」が適している。
小説・エッセイはどちらでもいい
一人称で主人公の内面を強く出すなら「である調」がおすすめ。
最近は少なくなったけど、いわゆる「天の声」による語り形式の場合は「ですます調」のほうが雰囲気が出る。
混在はアリ?ナシ?
一部の例外(文中に台詞や箇条書きを挿入する際など)を除いて、「ですます調」と「である調」は混在させるべきでないというのが原則。
なぜなら、↓こんなデメリットがあるから。
- 読み手に違和感を与える
- 主張があやふやになってしまう
- リズムが崩れて読みづらい
要するに、素人っぽい文章になりがちだということ。
ただし、これは敬体と常体を同じような割合で使用した場合の問題点であって、どちらかの文体にピンポイントで逆の文体を混在させるテクニックはアリ。むしろ推奨。
「ですます調」の文章の中に「である調」を混ぜると、書き手の強い意思が際立つし、逆に「である調」の文章に「ですます調」を挿入すると、急に突き放されたような(距離を置かれたような)印象を与えることができる。
結局、なんでもいいです。←こんな感じ。
文体を反対(ですます調⇔である調)に変換するツール
Microsoft Word
実は、Wordには文体変換ツールがある。
オプション:文章校正 → Wordのスペルチェックと文章校正 → 文書のスタイル:通常の文(設定)→ 文体:「だ・である」体に統一/「です・ます」体に統一 → OK
校正チェックで修正候補が表示されるので、「修正」を押して変換する。
普段からWordを使っている人は、この方法がラク。
ATOK
日本語入力システムであるATOKにも、文体の不統一を指摘してくれる機能がついている。
ATOKプロパティ → 入力・変換 → 校正支援:表現の洗練 → 校正支援を有効にする:ON → 文体の統一:文体の変化を指摘/「です・ます調」を指摘/「だ・である調」を指摘 → OK
日本語入力にATOKを使っている人は、一度設定を確認してみよう。
ですます変換君
ブラウザで使える無料ツールもある。
精度は微妙だけと無料で使えるんだから文句を言わない。平身低頭して使おう。
ブログはどちらで書く?
実は、このブログ。数日前から「ですます調」から「である調」に切り替えて書いている。
※正確には「常体」ではなく「口語体」。
ライターの仕事では、ほぼ「ですます調」なので、ブログを始めるときも同じ感覚で、なんとなく文体を決めていたんだよね。
もともと下書きをするときは常体で書いていたので、あるときふと思い立って変えてみた。
すると、記事作成の効率が格段に上がった。
あとから語尾をチェックして一つひとつ敬体に直す手間が必要なくなっただけでなく、下書きの段階でも言葉がスルスルと出てくるようになった。
以前は「後で直す」ことが常に頭の中にあったので、自然と敬体に直しやすい書き方にしようと意識していたのかも。
今後はこちらでいこうと思う。また気が変わるかもしれないけど。
書きやすい文体が一番。
ブログの文体については、読者に与える印象とか、文章の説得力とか、書き手のキャラ付けとかいろいろ考慮することはあるけれど、結局は自分が一番書きやすい文体を選ぶのがベスト。
下手なルールを作って文章が書きづらくなったら、本末転倒だからね。
どちらの文体にするにせよ、ブログをはじめる前にどっちをメインにするかは決めておいたほうがいい。統一感は大切。
僕もリライトのついでにぼちぼち過去記事を直していく予定。使っている文章校正ツールに変換辞書を入れておこうかな。
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