文末表現に変化(バリエーション)をつける12の方法【具体例あり】

2020年6月14日

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  • 文章を書いていると、同じ文末表現ばかり使ってしまう。
  • 単調で読みづらくなってしまうし、クオリティも低い印象になって困る・・・。
  • 文末表現に変化(バリエーション)をつけるコツがあれば教えて!

突然ですが、『ピーク・エンドの法則』をご存知ですか?

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンによると、人間は物事を「ピーク(最高時/最低時)」「エンド(終わり)」の2つのみで判断しているのだとか。

「終わりよければすべてよし」なんて言葉もありますよね。

文章においても「ピーク(主題・主張)」と「エンド(結び)」の重要性は言うまでもありません。それに加え、意外と見落としがちなのが、それぞれの段落・文ごとの文末表現です。

同じ文末表現が何度も続いてしまうと、最後まで読む気がなくなってしまったり、文章の説得力や信頼性が失われてしまう・・・なんて恐ろしい影響もあったり。

というわけで、今回は多用しがちな「だ・である」「です・ます」を中心に、具体的な文末表現の言い換えバリエーションをまとめてみました。

この記事の内容をメモ帳にコピペ、もしくはブクマしておけば、校正・推敲作業もスムーズに行えるようになるはず。ぜひチェックをば。

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ルール:同じ文末表現は2回まで。

3回同じ文末表現が続いたら、変化をつける。

このルールさえ守れば、とりあえずOKです。

文賢などは、同じ文末表現が3回つづくと自動でハイライト表示してくれる機能があるので、こういったツールを使うとより効率的に修正作業が行えますよ。

文賢:文末表現のチェック

文末表現のバリエーションパターン12選

僕が使っている文末に変化をつける方法は、以下の12通りです。

  • 体言止め
  • 三点リーダ・ダーシ
  • 「だ/です」→「のだ/なのです」(主張)
  • 「でした/だった」→「です/だ」(現在形)
  • 「だ/です」→「だろう/でしょう」(推量)
  • 「だ/です」→「だと思う/だと思います」(意見)
  • 「だ/です」→「かもしれない/かもしれません」(可能性)
  • 「だ/です」→「だそうだ/だそうです」(伝聞)
  • 「です・ます」→「だ・である」(強調)
  • 語順を変える
  • 一文にまとめる
  • あえて同じ文末を繰り返す

それぞれ簡単に解説していきますね。

「体言止め」が最も簡単

文章指南の本では「禁じ手」扱いになっていることもある体言止めですが、用法・用量をしっかり守れば、文章のテンポをくずさず文末に変化を作り出せます。

目安としては一段落に一回までくらいの使用に留めておくといいでしょう。

三点リーダ(……)・ダーシ(——)を付ける

こちらも体言止めと同様、使い過ぎは危険ですが、効果的に用いれば文章に余韻を生み出せます。

詳しくは↓の記事でも解説していますので、あわせてどうぞ。

―(ダーシ・ダッシュ記号)と…(三点リーダ)の正しく効果的な使い方【小説執筆】

「だ・である/です」→「のだ・のである/なのです」(主張)

断定の文末表現に「の」を加えることで、よりいっそう主張を強められます。

上記二つと同様、多用すると押しつけがましくなりますので、一段落に一回使う程度にしておきましょう。

「でした/だった」→「です/だ」(現在形)

過去形が連続していくところに、ふいに現在形の文末を入れると、その部分を際立たせる効果が生まれます。

過去と現在の話を混ぜるのは、あまりよろしくありませんが、過去のことを現在形で書くことで臨場感を持たせるテクニックなどもありますよ。

「だ/です」→「だろう/でしょう」(推量)

断定ばかりするのではなく、主張の強弱を持たせるために推量形の文末表現に変えてみるという方法もあります。

であろう
推測される
考えられる
記憶している

こんなふうに推量の中でもいくつかバリエーションを持たせることも可能です。

「だ/です」→「だと思う/と思います」(意見)

「僕はこう思うが、あなたはどうか?」という問いかけの意味をあんに持たせるのも、読者に文章を自分ごとと思ってもらう手法のひとつです。

だと考えている
だと確信している
だと断定できる

こちらの意見に対する自信のほども、自由にコントロールできます。

「だ/です」→「かもしれない/かもしれません」(可能性)

多用するとどっちつかずの文章になってしまいますが、ほかの主張を際立たせたり、別の意見を取りあげたりするのに使えます。

可能性が高い
可能性がゼロではない

真意のほども調整可能です。

「だ/です」→「だそうだ/だそうです」(伝聞)

人から聞いたり、何かの文献に載っていた話であれば、きちんと伝聞形で書いたほうがいいでしょう。

と聞いている
らしい

もちろん、自分の意見と完全に一致しているのであれば、その限りではありません。

「です・ます」→「だ・である」(強調)

一般的に、敬体(です・ます)と常体(です・ます)を同じ文章に混在させてはいけないとされていますが、特定の言葉を強調するために、あえて両方用いる手法もあります。

なかなか難しいテクニックなので、使うときは一つの文章で一回きりに留めておきましょう。

語順を変える

同じ意味の文章でも、主語を変えたりすることで自然と文末にも変化が生まれるケースもあります。

語順を整えれば、さらに読みやすくすることも可能ですので、しっかりとチェックしてみましょう。

一文にまとめる

同じ文末表現の短文が続いている場合、それらを一つの文にまとめることで文末自体を減らすという手もあります。

長くなりすぎると読みづらくなるので、一文は50文字くらいを目安にしておきましょう。

あえて同じ文末を繰り返す

小説やエッセイなどで使われるテクニックですが、意図的に同じ文末表現で淡々と言葉をつづけていくことで、スピード感やリズム感、情感などを生み出すことが可能です。

こういった手法が使いこなせるようになると、文章を書くのがぐっと面白くなってくるんですよね。

名作に学ぶ。華麗な文末表現バリエーション。

夏目漱石『吾輩は猫である』

まずは、こちらの文を読んでみてください。

吾輩は猫だ。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかない。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶していた。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族だった。

何か違和感を覚えませんでしたか?

これは元の文章を僕がいじって、わざと文末表現を揃えてみたものです。

まったく同じ文末というわけではありませんが、どこか単調な印象を持った方も多いのではないでしょうか。

ちなみに、改悪するまでの文章は、↓こんな感じでした。

吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ

「つかぬ」「であったそうだ」など微妙な文末表現の変化がなんともいえないリズム感を生み出しています。

そもそも猫が「である」口調という書き出しからして秀逸すぎますね。

芥川龍之介『蜘蛛の糸』

ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池はすいけのふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂いが、絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。

仰々しい語り口調に加え、「ございます」「いらっしゃいました」「おります」「なのでございましょう」といった文末表現のバリエーションで、巧みな視点(主観・客観)の移動をおこなっています。

ある日の事。御釈迦様が極楽の蓮池はすいけのふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていた。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂いが、絶間なくあたりへ溢れて居た。極楽は丁度朝だった

常体に変え、文末を揃えるだけで、文章の魅力がガクンと下がってしまいました。

川端康成『雪国』

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。

あえて同じ文末表現を連続させ、独特のリズム感を生み出し、次々と描かれる情景を鮮やかに浮かびあがらせる名文です。

ここまで自在にできるようになれば、文末表現のプロと言ってもいいでしょう。

まとめ

今回のおさらいです。

文末ルール:同じ文末表現は2回まで。

文末表現のバリエーションは、以下の12通り。

  • 体言止め
  • 三点リーダ・ダーシ
  • 「だ/です」→「のだ/なのです」(主張)
  • 「でした/だった」→「です/だ」(現在形)
  • 「だ/です」→「だろう/でしょう」(推量)
  • 「だ/です」→「だと思う/だと思います」(意見)
  • 「だ/です」→「かもしれない/かもしれません」(可能性)
  • 「だ/です」→「だそうだ/だそうです」(伝聞)
  • 「です・ます」→「だ・である」(強調)
  • 語順を変える
  • 一文にまとめる
  • あえて同じ文末を繰り返す

文末表現に凝りだすと、いろいろと変化をつけたくなってきますが、あまりにもこだわりが強い文末ばかりだと、それはそれで読みにくくなってしまいます。

重要なのは、あくまで文章の中身。

読者にとっての読みやすさ・理解しやすさを第一に、ぴったりの文末表現を探してみてくださいね。

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