- しっかりとしたシナリオの小説や漫画が書きたい!
- 伏線を張ったり、必要な情報をさりげなく物語に出していくのが苦手。いつも途中で破綻してしまったり、最後に上手くまとまらなくて・・・。
- 脚本・プロットづくりに便利なテクニックはないの?
こんな悩みをお持ちのあなたのために、現役作家でもある筆者が「箱書き」の詳しいやり方やおすすめアプリを解説します。
破綻しないシナリオには、事前準備が不可欠です。
ついつい面倒だったり、思いついたアイデアをいますぐ書き始めたいといきなり原稿用紙に向かってしまう方は、後で痛い目をみます。
僕自身も、かつては碌なプロットすら用意せずにいきなり原稿を書き始めるタイプの人間でした。
そこで一念発起し、プロットの書き方をしっかりと学び、さらに詳細な「箱書き」のテクニックを身につけたところ、上記のようなミスはほぼ起こらなくなり、徒労に終わる無駄な作業もなくすこができました。
というわけで、この記事では、
- 箱書きの役割やメリット
- 具体的な箱書きの書き方
- おすすめの箱書き用アプリ・ソフトウェア
などの情報をまとめています。
箱書きのテクニックをマスターすると、膨大な世界観設定の物語や緻密な伏線が張り巡らされたストーリーなども破綻なく書けるようになり、作品の質が何倍にもアップすること間違いありません。ぜひ最後までご覧ください。
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箱書きとは?(役割やメリット)
箱書きとは、主に映画の脚本などで使われるシーンごとの要点や情報をまとめたメモ書きのまとまりのようなものを言います。
※茶道具の銘などを箱に墨書きしたもの(御書附)も「箱書き」と言いますが、この記事ではシナリオ作成における箱書きについて説明します。
整理された情報がまとめられたメモを「箱」に見立てたことが由来という「箱書き」は、さらに、
- 大箱:章(起承転結、三幕構成など)
- 中箱:エピソード・シークエンス
- 小箱:シーン・カット
のように細かく分けることができます。
箱書きとプロットの違い
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【小説】誰でもできるプロットの書き方(7つの手順)【脚本】
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箱書きはプロットの一種であり、役割もほとんど同じです。
プロットは物語全体の流れをざっくりとまとめればいいのに対して、箱書きはさらに詳しく、
- 登場人物
- 場所
- 時間
- 天候
- 起こる出来事
- シーンの目的
- 書いておくべき情報・伏線
といった細かな情報を各シーンごとにまとめます。
ほぼ作家一人で完結する小説と違い、監督や演出家、カメラマンや役者など様々な人がかかわり、シーン(カット)ごとに撮影を行う映画では、あいまいなプロットではなくしっかりと情報がまとめられた箱書きが必要というわけですね。
箱書きのメリット
共同で一つの物語を作り上げる作業にはもちろんのこと、箱書きは一人で創作をする小説家にとっても非常に役立つツールです。
- 物語が破綻しづらくなる
- 脱線をコントロールできる
- ストーリーの起伏が付けやすい
- 伏線を張り巡らせやすい
ざっと挙げたメリットはこんなところでしょうか。
情報の管理がなかなか難しい長編小説は当然として、必要な情報や要点をできるだけ短い文章で簡潔に描く必要がある短編小説にも、箱書きの手法は効果的です。
箱書きの書き方【4つの手順で解説】
最もシンプルな箱書きの書き方は、以下になります。
- プロットを作成する
- シーンに分割する
- 必要な情報をまとめる
- 物語全体の流れを整える
以下で詳しく解説しますね。
1.プロットを作成する
まずは物語全体の流れを箇条書きにしてプロットにまとめます。
起承転結(四行)や三幕構成(三行)などの短く簡潔なものでかまいません。これが箱書きで言うところの「大箱」になります。
2.シーンに分割する
プロット=大箱を、さらにエピソード(シークエンス)ごと分割することで「中箱」を作り、それをさらにシーンやカットごとに分割して「小箱」をつくっていきます。
大箱を起承転結で作ったら、中箱や小箱もそれぞれを起承転結で分割していくようにすると、作業がスムーズに進むようです。
起承転結の場合:大箱(4章)⇢中箱(16エピソード)⇢小箱(64カット)
三幕構成の場合:大箱(3章)⇢中箱(9シークエンス)⇢小箱(27シーン)
こんなイメージでしょうか。もちろん必ずしもこうしなければいけないというわけではないので、物語に合わせてエピソードやシーンの量を決めていきましょう。
3.必要な情報をまとめる
分割が終わったら、それぞれのシーンに必要な情報を箇条書きにしてまとめていきます。
- 登場人物
- 場所
- 時間
- 天候
- 起こる出来事
- シーンの目的
- 書いておくべき情報・伏線
僕はこんな感じでまとめていますが、人によっては台詞やキーアイテムなどの情報を加えたり、逆にもっとシンプルに人物・場所・時間と簡単なメモだけでまとめる方もいるようです。
4.全体の流れを整える
ひと通り情報をまとめ終わったら、物語全体の流れを確認しながら不足している情報を加えたり、不要なシーンを削ったりしていきます。
場合によっては、ストーリーを盛り上げるためにあえて時系列を変えてシーンの並べ替えを行うのも効果的です。
ここで必要な情報をすべて押さえ、破綻のない物語構造ができあがりさえすれば、原稿執筆のスピードが驚くほどアップしますし、推敲の手間も大幅に減らすことができます。
おまけ:プロットなしで箱書きを書く方法
上記の手順以外にも、プロットを作らずに箱書きから作り始めるという手法もあります。
- 自分が書きたいシーンを書き出す
- 並べ替えながら足りない情報やシーンを書き足していく
- 全体の流れを整える
アイデアの断片を書き貯めてから、それらを組み合わせたり並べ替えたりすることで「プロットもどき」のようなものを作っていくわけですね。
この方法だと、ありきたりなストーリーの流れとは一線を画した展開を作ったりもできますし、箱書きをしっかりと作れば論理的な破綻も防ぐことができます。
おすすめの箱書きソフト(アプリ)5選
Scrivener
言わずとしれたプロ御用達の小説執筆総合エディタ。このブログでも幾度となく紹介させていただいております。
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このソフトには「コルクボード」と呼ばれる箱書きにピッタリな機能がついており、作成したメモ(箱)をそのまま原稿のベースに使うことができます。
重要度やシーンの役割ごとに色分けができるのも非常に便利。
本職の愛好家が多いのも、納得の高機能エディタですね。
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WorldType
こちらは「スマホで小説が書けるおすすめアプリ」の記事で紹介した、無料のWebアプリ。
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このツールにも「アイデアボード」という機能があり。箱書きに活用することができます。
公開されているアイデアボードはこちらで見ることができるので、気になる方はチェックしてみては?
Nola
こちらも以前紹介したWebアプリ。
このアプリで使えるプロット機能は、起承転結ごとにシーンをメモ書きして、並べ替えなどが手軽に行えるので、箱書き作成に最適です。
三幕構成などほかの物語フレームワークを使いたい方は、ちょっと工夫が必要かもしれませんね。
ColorNote
こちらはいわゆる付箋アプリ。Android版とAmazon版があります。
買い物メモやToDoリストなどに使うことが多いアプリですが、箱書きツールとしても活用することができます。
スマホの小さい画面でも操作できますが、できればタブレットなどの大きな画面で作業するのがおすすめです。
lino
iPhone・iPadユーザーはこちらの付箋アプリがおすすめです。
グループを作成し、メンバーと共同でコルクボードの編集ができるので、複数人で創作したい人は重宝しそう。
ブラウザから直接使うこともできるので、パソコンの大画面で操作することも可能です。
まとめ
というわけで、今回はここまで。
これまでプロットなどをまともに書いてこなかった人など、初めのうちはしっかり箱書きを準備する作業がちょっと面倒に感じるかもしれません。
しかし、破綻してしまった物語をあとから延々と修正しなければいけない手間を考えれば、トータルの作業自体は箱書きを用意したほうがむしろ少なく済みます。作品の質も確実にアップしますしね。
なかなか重い腰が上がらない人は、まずは短編やショートショート(掌編)で練習するのがおすすめ。これなら箱書きもシンプルですし、その高い効果を手軽に実感することができます。
それでも行動に移せない人は、有料アプリを購入して、退路を断つ。という手もあったり。
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