小説の書き方

「小説」に学ぶ秀逸な書き出しのコツ【インパクトか共感か】

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  • ありふれた挨拶文やどうでもいい前置きなど、自分の文章のつまらない書き出しをなんとかしたい……。
  • 名作小説のような秀逸な書き出しに憧れる……。
  • 小説以外の文章でも使えるような書き出しのコツを教えて!

こんな悩みに応える記事を書いてみました。

文章の書き出しは非常に奥が深い世界で、僕もまだまだ模索中です。

現在、このブログの書き出しでは、テーマに合わせた悩みを紹介していますが、これが完成形では決してなく、もっと読者の興味を引きつける印象的な書き出しは作れないものかといつも頭を悩ませております。

そんなとき非常に参考になるのが、小説の書き出しです。

たった一行で物語世界への想像が広がる(爆発する)魅力的な書き出しの数々。みなさんも心に残っているお気に入りの書き出しがいくつかあるのでは?

というわけで、この記事では、

  • 書き出しが持つ文章上の役割
  • 具体例から学ぶ小説の書き出しテクニック
  • おすすめのサイト・本

こういった情報をまとめています。

情報洪水に溢れたこの時代。書き出しが平凡で退屈なものだと、読者はあっという間に本やブラウザを閉じてしまいます。

せっかく書いた渾身の文章を最後までしっかり読んでもらうためにも、読者の興味を引きつける書き出しを作れるようになりましょう。

書き出しの役割

続きの文章を読ませる

すべての文章や言葉の数々は「先を読みたいと思わせること」が目的の一つであると言われています。

最初に目にする書き出しによって、読者は文章全体の面白さや有用さを判断します。ここで合格できなければ、先の文章は読んですらもらえず「駄文(駄作)」のレッテルを貼られてしまいます。

人は最初に受けたイメージ=第一印象が最も強く残り(初頭効果)、後からそれを覆す情報を与えられてもそれを受け入れづらい傾向(確証バイアス)があります。

これは対人コミュニケーションだけでなく、文章においても同様なのです。

読者の共感を生む

書かれていることを読者が「自分ごと」として受け入れてくれなければ、積極的に文章を読み進めてもらえませんし、せっかくのドラマや情報も上滑りしてしまいます。

たとえ登場人物や作者の意見に同調できなくても、そこに書かれていることから「自分だったらどう感じるだろう?」「自分ならこうするのに……」と想像してもらえればOKです。

反発だって立派な共感のひとつ。好きの反対は無関心なんて言いますしね。

文章全体のテーマを象徴する

文章全体で語られること(テーマ)を、書き出しで端的に示すのは必須とも言えます。

PREP法のようにわかりやすく結論から書いてしまう方法もありますし、最後まで文章を読んではじめて書き出しの本当に意味に気づくようなやり方も、読者の心に強く残ります。

小説から学ぶ魅力的な文章の書き出し例

自己紹介(自分語り)から書き出す

吾輩は猫である。名前はまだ無い。

引用:夏目漱石『吾輩は猫である』

特徴的な人物、例えば波乱万丈の人生を歩んできていたり、変わった考え方を持っている人の場合、自己紹介や自分語りから書き出すことで、強烈な個性を演出することができます。

日常のふとしたエピソードなどを添えることで、読者の共感を得ることも可能です。

事件から書き出す

ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。

引用:フランツ・カフカ『変身』

印象的なエピソードを語る場合、すでにそれが「起こってしまっている」状態から書き始めると、読者の興味をぐっと引きつけることができます。

上記の例のように、何かしらの異常な状態の描写でもいいですし、派手なアクションでスピード感を文章に持たせるなどの方法もあります。

会話・セリフから書き出す

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」

引用:村上春樹『風の歌を聴け』

誰から聞いた言葉や、自分で創作した言葉などを、印象的なセリフにして書くことで、文章全体のテーマを端的に語る方法です。

一般的に読者は地の文よりも会話文のほうが読みやすく感じる傾向があるので、エピソードを語るときも会話風に書くといいかもしれません。

名言・名フレーズを引用する

幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。

引用:トルストイ『アンナ・カレーニナ』

この冒頭文は、様々な作品に引用されていますよね。

こういった多くの人が知っている名言や名フレーズを書き出しで引用することで、文章全体のテーマにつなげていくと読者の理解もスムーズです。

描写から書き出す

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

引用:川端康成『雪国』

印象的な風景や状況を、情感豊かな描写で表現することによって、読者がまるで登場人物になったかのような気分になります。

文章世界に引き込む上で、この効果は非常に有用です。

違和感(引っかかり)を作る

西の魔女が死んだ。四時間目の理科の授業が始まろうとしているときだった。

引用:梨木香歩『西の魔女が死んだ』

春が二階から落ちて来た。

引用:伊坂幸太郎『重力ピエロ』

不思議な言葉の組み合わせや、謎・矛盾など、読者が引っかかりを覚える何かを文章に入れておくと、その違和感の正体を突き止めるために読者は自然と先を読みたくなってしまいます。

このテクニックは、これまで紹介した4つの手法と組み合わせることで、さらに魅力的な書き出しを作ることができます。

おすすめのサイト・本

書き出し小説大賞

先日、第177回の秀作が発表されたばかりの「書き出しだけ」の小説賞。

書き出し小説大募集 :: デイリーポータルZ

一般から募集した受賞作の数々は、たった一行で様々なドラマを見る人に想像させる秀逸なものばかり。作品がまとめられた本も出ています。

書き出し小説 | 天久 聖一 | 文学・評論 | Kindleストア | Amazon

Amazon.co.jp: 挫折を経て、猫は丸くなった。―書き出し小説名作集― eBook: 天久 聖一: Kindleストア

本の書き出し

様々な小説の書き出しが、ランダムに一覧表示されるユニークなサイト。

それぞれの書き出しをクリックすると、作品の説明やAmazonリンクが載っています。

本の書き出し

小説書き出しクイズ

書き出しの一文から作品を当てるクイズ。ネットで検索すると色々なサイトで実施されているもよう。

【みんなの知識 ちょっと便利帳】クイズ・雑学キング 小説の書き出し
文学作品の「書き出し」クイズ (全10問) : トイダス

書き出し「世界文学全集」

翻訳家・柴田元幸氏による世界文学73作品の「書き出し」を集めた本。

すべての作品が氏による「新訳」であるのもポイントです。

書き出し「世界文学全集」 | 柴田 元幸 |本 | 通販 | Amazon

名作の書き出し~漱石から春樹まで~

15編の名作を書き出しから読み解くというテーマの本。

Kindle Unlimitedの会員なら無料で読めます(2019年10月時点)。

名作の書き出し~漱石から春樹まで~ (光文社新書) | 石原 千秋 | 文学・評論 | Kindleストア | Amazon

テンプレ脱却のコツは「書き出し」にあり?

こうしてあらためて色々な作品を読んでみると、書き出しには書き手の個性が最もよく表れているように感じます。

これは小説に限らず、魅力的な文章を書く人は書き出しの時点で、その人の「味」のようなものが滲み出ていますよね。

ブログを毎日書いていると、どうしても定型(テンプレ)どおりに文章を書いてしまうのが悩みどころ。

文章構成フレームワークの有用性は疑うべくもありませんが、そればかりになってしまうと自分の文章の良さが出てきませんし、早晩十把一絡げの中に埋もれてしまうような気がします。

まだ具体的な形は見えていませんが、せっかく僕は「小説も書いているライター」なので、物語創作の文章テクニックを上手く他の文章にも活かせないものかと、あれこれ考えている最中です。

まずは書き出しだけでも「脱テンプレ」することから、自分なりの文章を模索していきたいですね。

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書く人。広告コピー・コラム・小説など、いろいろ書いてます。 ※noteで即興ショートショート執筆中。

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