- 伏線の張り方・作り方が知りたい。
- どうやって伏線を上手く張ればいいのかよくわからない。わざとらしくなってしまったり、管理しきれずに回収し忘れたりしてしまう。
- 読者に「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」と言われるくらいの作品を作りたい・・・。
- 伏線を上手に張って、見事に回収する方法を教えて!
そんな悩みをお持ちのあなたのために、伏線の張り方・回収方法について解説します。
最近も、以下のつぶやきが話題になりましたが、「伏線」とはどうしてこんなにも魅力的なんでしょうかねぇ・・・。
小4が作った短編小説が「完璧な伏線回収」「天才すぎる」と話題 “誤字”だらけの文章に大人顔負けの仕掛け(1/2 ページ) - ねとらぼ
僕も、いつか見事な伏線作品を書いてみたいと日々研究する毎日。今回は、そんな管理人のメモ(備忘録)も兼ねてまとめてみました。
この記事でわかること
- 伏線の効果的な張り方や、上手く回収する方法がわかる
- お手本となる伏線漫画・小説などの情報が手に入る
- 伏線にこだわりすぎてなかなか書き出せない現状を打破できる
この記事を読めば、読者をあっと言わせる伏線を自分の物語に取り入れることができるようになり、作品づくりがもっと楽しくなるはず。 ぜひ気になるところだけでも読んでいってくださいね。
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伏線とは?
伏線(ふくせん)とは、物語や作劇上の技術のひとつで、進行上の将来に起こる(知らされる)重要な内容について、因果関係(線)を伏せて事前に示唆しておく手法である。読者や聴衆の失望を回避するため、あるいは感興を引き起こすために用いられる。
伏線 - Wikipedia
伏線には大きく分けて2種類が存在します。
- 読者にそれとわかる形で明示するもの
- 一読したときには気づかないよう巧みにひそませ、回収時に初めて気づくように仕込んだもの
※一般的には後者のみを「伏線」ととらえている人が多いようですが、定義上は前者も伏線の一種です。
伏線はいわゆる「ほのめかし」や「忍ばせ」に似たものですが、これらを隠す度合い(匙加減)によって役割が変わってきます。
前者は先の展開を期待(恐怖)させ、後者は意外性から驚きと感動を与えることができます。
伏線回収とは?
伏線回収は、その字の通りあらかじめ張られた伏線を後から回収することを示します。
一般的に物語の結末が近づくにつれてまとめて回収されていくパターンが多いですが、展開を大きくひっくり返すために中盤(ミッドポイント)で大きな伏線を回収する・明らかにするケースも存在します。
伏線を張る意味・メリット
- 読者の期待を煽る(先を読みたくする)
- 意外性で驚きや感動を与える
- 突拍子もない(奇想天外な)展開に説得力を持たせる
- 物語に厚みや広がりを持たせる
- 読後の考察などで口コミ効果を狙える
上記のように、巧みな伏線にはさまざまな効果があります。
逆に、伏線の張り方が下手だと「あからさま」や「ご都合展開」といった感じでかえって評価が厳しくなってしまうため、注意が必要です。
伏線回収がすごい漫画・アニメ・映画・小説17選(お手本にぴったり)
- ワンピース
- 進撃の巨人
- ハンターハンター
- 鋼の錬金術師
- 彼方のアストラ
- 僕だけがいない街
- イカゲーム
- カメラを止めるな
- バタフライエフェクト
- ユージュアル・サスペクツ
- シックス・センス
- ファイト・クラブ
- エスター
- 殺戮にいたる病
- 葉桜の季節に君を想うということ
- イニシエーション・ラブ
- ハサミ男
数え上げたらキリがないので、こんなところで。
これらはまとめサイトが山ほどあるので、もっと知りたい人はチェックしてみてください。
個人的には「犯人探し」の要素がないのに見事な伏線が張られた作品や、どんでん返しまでいかない「さりげない伏線」が好み。
上手い伏線の張り方・回収方法(7つのポイント)
世界観設定やプロットを作り込む
伏線の有無は、物語の設定や展開によって決まります。
特殊な状況、背景設定や展開をいかに違和感なく読者に納得させ、物語全体に一本の筋のようなものを通すもの。それが伏線です。
よって上手に伏線を張るためには、書き始める前の設定作りやプロット作成作業が欠かせません。
- この設定を有効に活かすにはどこに伏線を張るべきか?
- この伏線を回収するタイミングは、どの時点が最も効果的か?
一つひとつをしっかり考えて、伏線が無駄にならないようにしましょう。
物語にミステリー要素を入れる
伏線が不可欠な物語といえば、やっぱりミステリですよね。
推理小説に限らず、物語の中に「謎」をひとつ用意するだけで、その謎に関連する伏線をいくつも考えることができます。
「謎」を「不思議」と言い換えてもいいですね。
謎解き要素は読者を物語に惹きつけ、作品を最後まで読ませるためにも非常に有効なので、あなたの書くものに取り入れられないか?一度は考えてみましょう。
メインとなる伏線をひとつに絞る
「伏線がいたるところに張り巡らされている」は、巧みな作品に対する定番の褒め言葉です。
しかし、これを鵜呑みにして滅多矢鱈に伏線をちりばめようとすると、読者が混乱するだけの物語になってしまいます。
ポイントはメインとなる伏線(=謎)をひとつに絞り込むこと。
そこから枝葉のように関連する小さな伏線を考えていくと、まとまった作品を作りやすいです。ぜひお試しを。
後からそれ(伏線)とわかるようにしっかり仕込む
読者に気づかれないようにと意識するあまり、誰も気づかないような微妙(卑怯?)な伏線の仕込み方をするのもNGです。
読者は「フェア」な作品を支持します。初見で気づかなかった読者が後から読み返さなくても「……そういえば書いてあったわ」と思い出せるくらい明確な伏線を仕込むようにしましょう。
「伏線っぽい文章」をカモフラージュにする
伏線が初見の読者に見破られてしまわないか心配な方は、本命の伏線の周囲にわざと「おとり」となる伏線っぽい文章を仕込むのも有効です。
目に見えて何かの伏線っぽい描写があると、どうしても読み手はそちらに意識が向き、他のちょっとした違和感を忘れてしまいがちですからね。
「伏線っぽかったけど、違っていた」と上手くなるよう、囮(おとり)にもしっかりとした落としどころを作ることも忘れずに。
最後まで書き切ってから、伏線の配置や回収方法を見直す
どれだけ事前に緻密なプロットを用意しても、まったくその通りに物語が展開することはほとんどありません。
実際に書き始めてから気づく矛盾点や不自然さもありますし、書きながら新しいアイデアが思いつくことだってあります。
だからこそ作品づくりはやめられないんですけどね。
予定していた伏線の配置や回収方法が思ったほど有効に働かないことも多いので、書き終わったら必ず全体を読み直して再確認しましょう。
あえて伏線を意識せずに書く
伏線のことばかりに頭がとらわれてしまうと、肝心の物語や描写・会話がおざなりになったり不自然なものになってしまいます。
そういった人は伏線のことは一旦忘れ、物語そのものに集中しましょう。
最初は伏線を考えずに物語を最後まで書き切り、後から推敲時に伏線を仕込むなんて方法だってあります。
プロの中にも回収を意識せずそれっぽい伏線だけ仕込んでおいたり、後付けで伏線に仕立て上げたりする人も多いですしね。
書き方は千差万別。人によって向き不向きがあるので、自分に合ったやり方を模索してみてください。
伏線管理に便利なおすすめアプリ5選
ぷろっとプロット
プロット作成時に伏線配置・回収のポイントをしっかり押さえたい人は『ぷろっとプロット』が便利です。
プロット(アウトライン)のそれぞれに伏線(ここで立てる/ここで回収)のチェックボックスを付けられるのがポイント。伏線は専用のリストで管理でき、それぞれの配置ポイントを簡単にチェックできますよ。
ストーリープロット生成/伏線管理システム
『ストーリープロット生成/伏線管理システム』はブラウザから利用できるタイプのプロット作成ツールです。
面白いのが、キーワードを入力するだけでストーリー展開を(伏線を含め)自動生成してくれるという点。アイデア出しの良いヒントになってくれそうですね。
残念ながら2022年1月にサービス終了してしまい、現在は体験版が利用できるのみ。AIを使って似たようなツールを作ってくれないかなぁ・・・。
ArtOfWords
『ArtOfWords』はフリーの小説執筆ソフトです。
「執筆」「登場人物」といったタブに分かれた中には「展開」というものもあり、登場アイテムなどに「伏線」や「ミスリード」といった役割を割り当てることが可能です。
物語を時系列で管理できる専用タブもあるので、こちらも伏線管理に便利ですよ。
創作支援ツール ArtOfWords - Stand-alone Community
Nola
『Nola』はブラウザから利用できる小説執筆ツールです。
こちらにも時系列作成機能が付いており、イベントや登場人物と一緒に伏線/回収ポイントをメモできます。
スマホアプリもありますが、上記の機能はPC版のみのもよう。スマホで利用する際はブラウザからのご利用を。
Scrivener
僕は高機能エディタとして有名な『Scrivener』で伏線管理もまとめて行っています。
ドキュメントごとに梗概(シノプシス)とメモを別々に書いておけるので、そちらに補足情報をまとめつつ、別フォルダに伏線用のドキュメントを作成し、伏線が登場・回収するドキュメントとリンクで結びつける、という感じ。
設定資料なども整理しておけるので、これひとつで長編・大作もスムーズに作成・管理できますよ。
おまけ:伏線は無理に配置・回収しなくていい?
最近は、伏線が過度に評価されている気がする(ここまで書いておいてなんだけど)。
ともすると、伏線がなかったり回収しない伏線があるだけで駄作認定されてしまいがちだったり。さすがにそれは安直すぎるんじゃないかと。
伏線はあくまで物語を面白くする要素のごく一部。たしかに伏線回収のカタルシスは人を惹きつけてやまないけれど、書き手が囚われてしまっては本末転倒な気がする。
記事中で「事前準備をしっかりする」とは書いたけれど、あまり設定やプロットにこだわりすぎて一向に書き始められなかったり、自由な発想が妨げられてしまうなんて恐れもある。
作品の面白さは人それぞれ。物語が自由なように、伏線ももっと自由に扱って(遊んで)いいのではなかろうか。
「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」
ネットミームとして有名なこちら。
作者の意図していないところまで考察や議論が及ぶことを揶揄するような文脈で使われることが多いけど、これも楽しみ方のひとつ。こんなふうに作者の手を離れて自由に楽しんでもらえるなら、作り手冥利に尽きると言えなくもない。
伏線だって、読者が(作者も思いもよらない発想で)勝手に伏線を想像してくれたり、回収してくれることがある。
昔から週刊連載の漫画などでは、読者の反応を見ながら後付けで伏線を作ったり、ファンの創作設定が原作に採用されたりといった例が少なくない。
伏線をあえて回収しない。そのことにだって、いくらでも意味が作り出せるはず。
もっと気楽に考えていきたいなぁ。
まとめ
今回は伏線の書き方や回収方法について解説しました。
読者が思わず見逃してしまい、あとから伏線だったことに気づいてハッとする・・・そんな絶妙なニュアンスの伏線を描くには、根本となる文章力や構成力が欠かせないことを忘れてはいけません。
こういった基本スキルに自信がない人は、無理して伏線を仕込もうとせず、まずは素直に物語を展開させることを覚えながら腕を磨いていくのがオススメです。
下手な伏線・どんでん返し作品よりも、王道展開でも見事な筆致や流れるような展開が楽しめる物語のほうが、当然ながら読者の評価も高いですしね。
小手先のテクニックに逃げたくなる気持ちも痛いほどわかりますが、せっかくの伏線がハリボテにならないよう、あなた自身のスキルアップも決して忘れずに。頑張っていきましょう。
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