- 小説や漫画を書くのにプロットって必要?
- どうやってプロットを書いたらいいのかわからなくて……。
- 誰でもできるプロットの効果的な書き方を教えて!
こんな悩みに応える記事を書いてみました。
前回の記事でも書いたとおり、僕も以前はプロット否定派でした。
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しかし、数々の失敗を経てしっかりとしたプロットづくりの手法を学ぶことで、自身が感じていたプロットに対する先入観がただ思い込みでしかなかったことに気づきました。
いまではプロットを積極的に執筆に活用していますが、作品の独創性や書く楽しさといったものは、むしろ以前よりも数段アップしたように感じます(もちろんまだまだですが)。
というわけで、この記事では、
- プロットの役割やメリット
- プロットの具体的な書き方
- プロットのもつデメリットの解消法
これらの情報をまとめています。
正しいプロット作成法を身につければ、執筆の自由度がさらに増し、書くことがもっと楽しくなることは間違いありません。ぜひご一読を。
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プロットとは?
プロットとは物語の重要な出来事をまとめた要約です。
ポイントとしては、ストーリーの流れの中で因果関係のある出来事(例:◯◯によって●●が起こり、△△へとつながる)のみ、プロットには書き込むという点。物語の筋とは関係のないサブストーリーや余談は、厳密にはプロットには含まれません。※最近はあまり厳格な区別はないみたいですが。
プロットとあらすじの違い
物語の要約、という意味では両者とも同じものと言えます。
異なるのはその役割。あらすじ(梗概)が他者へ作品を説明するためのものであるのに対し、プロットは作者自身が考えを整理したり、原稿を書く上で目安にするために用意するものです。
小説賞などの応募要項に、原稿とは別にあらすじを添えることが義務付けられていることが多いのは、他者=下読みの人が梗概だけを見て作品の良し悪しを判断することがあるからです。プロットではダメです。
※編集者は他者(読者)と作者の中間くらいの立ち位置なので、企画提案の際にはプロットとあらすじの両方あったほうがいいですね。
プロットと箱書きの違い
箱書きはプロットをさらに詳細にしたものです。複数人で創作をするときには情報共有の点からも必須ですね。
詳しくは前回の記事で解説してますので、よろしければチェックしてみてください。
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プロットを作るメリット・デメリット
原稿を執筆する前にあらかじめプロットを用意しておくことには、様々なメリットがあります。
- 複雑な物語が破綻なく書ける
- 執筆スピードがアップする
- 企画を通しやすい
特に、フィクションに説得力(リアリティ)を持たせるためには、必要な情報が過不足なく最適な場所で語られていることが大切ですが、プロットなしでそういった論理的な長文を書くのは非常に難しいものです。
上記のようなメリットがある反面、プロットには創作の上でデメリットになる部分もいくつかあります。
- 執筆作業が退屈・窮屈になる
- ありきたりなストーリーになる
プロット否定派の方の多くは、このようなデメリットから頑なにプロットを作らないようです。
もちろん執筆スタイルは人によって様々なので、必ずしもプロットを作らなければならないというわけではありませんが、これらのデメリットは工夫次第で解決可能でもありますよ。
プロットはどのくらい細かく書くべき?
プロットをどの程度まで書き込むかにも、いくつかの違いがあります。
- プロット否定派:プロットを一切用意せずに原稿を書き始める人
- 簡易プロット派:数行程度のプロットだけ作って原稿を書き始める人
- 詳細プロット派:箱書きを含めた具体的なプロットを練ってから原稿を書き始める人
大別すると上記の3タイプに分けられるかと。
1番はとりあえず置いておくとして、プロットを数行程度にとどめるべきか、それとも箱書きに近いレベルまで各シーンの詳細をまとめるべきかは、書き手や作品のタイプによって変わってきます。
こればかりは実践しながら感覚を掴んでいくしかないので、次項から紹介するプロットの具体的な書き方では、簡易プロットから詳細プロットまで対応できる作り方を紹介したいと思います。
プロットの書き方【7ステップ】
それでは、実際にプロットを作る作業に入ってみましょう。
プロット作成は以下のようなフローに従って行うと効率的です。
- ログラインをつくる
- 導入部と結末を考える
- クライマックスを決める
- ストーリーを章分けしていく
- 転換点となるシーンを考える
- さらに細かく分割して箱書きをつくる
- 各項目を並べ替え、物語の流れを構築する
以下で詳しく解説します。
ログラインをつくる
ログラインとは、物語を一行で簡潔に説明したもの。要するに「一言でいうと?」というやつです。
自分が書きたいストーリーは一体どんなものなのか?が明確になっていないと、プロットなど作れるはずもありませんからね。
「いきなり一言で説明を、と言われても困る……」という方は、定番の5W1Hに当てはめてみるのがおすすめです。
- いつ(When):物語の時代設定
- どこで(Where):物語の舞台背景
- 誰が(Who):主人公
- 何を(What):目指すもの、達成すること
- どのように(How):具体的な方法
- なぜ(Why):行動の目的
これらを使って、物語を一言で表すところからプロットづくりは始まります。
導入部と結末を考える
次はストーリーの導入部(はじまり)と結末(おわり)を考えてみましょう。
ログラインが完成していたら、おおよその形は見えているかと思いいます。
- 導入:主人公はどんな状態?
- 結末:主人公はどうなる?
物語とは、主人公の成長(変化)の道程です。作品の始まりと終わりとで彼(彼女)にどんな変化が生まれたのか、それこそがストーリーの存在意義とも言えます。
クライマックスを決める
ここで言うクライマックスとは、物語の結末ではなく、最も盛り上がるシーン=見せ場のことです。
ぶっちゃけ、あなたが一番書きたいシーンです。
多くの場合、主人公が大きな成長・変化を遂げる瞬間であったり、その成果が発揮される瞬間であったりします。
キャラクターよりも話の筋を重視する小説の場合は、物語の大きな転換点やストーリー上のギミックが発動する瞬間(どんでん返しなど)がクライマックスになる場合もあります。
ストーリーを章分けしていく
導入⇢クライマックス⇢結末という流れができたら、ストーリーラインを分割していきます。
物語にはフレームワーク(型)がいくつかあるので、それらを参考にすると手軽にドラマチックなストーリーを考えることが可能です。
- 起承転結
- 三幕構成
- 序破急
- 英雄の旅
- シンデレラ曲線
- フライターク・ピラミッド
こういったテンプレートに頼ると平凡な物語しか作れない、といった批判の声もよく耳にしますが、しっかりと練り込まれたストーリーはたとえ物語のベースが類型であっても、読者を驚かせ、感動させることができます。
あえて定番の流れから外れた物語を書くとしても、その元となる類型を知らなければ、外れようがありません。王道を知らずして邪道は進めないのです。
ここまでで作成したものが、いわゆる「簡易プロット」になります。
転換点となるシーンを考える
フレームワークを参考に物語を章分けしたら、それぞれの章の転換点になるシーンを考えましょう。
転換点は各章のクライマックス=見せ場と言い換えてもいいので、必ずしも章の終わりに配置されている必要はありません。物語の前後をつなぐ重要なシーンであり、因果関係の要となる出来事がここで発生します。
コツは一本のストーリーラインにチェックポイントを配置していくように転換点を作成すること。まさにプロット(Plot)するわけです。
そんな形が理想ですね。
さらにこまかく分割して箱書きをつくる
各章ごとの情報をさらに詳細にまとめて、「大箱」を作っていきます。
- 登場人物
- 場所
- 時間
- 天候
- 起こる出来事
- シーンの目的
- 書いておくべき情報・伏線
これらをメモしておくと、原稿執筆の際に重宝します。
さらに大箱を中箱・小箱へと分割してくことで、箱書き=詳細プロットが完成します。
箱書きの詳しい作り方は、↓の記事をどうぞ。
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各項目を並べ替え、物語の流れを構築する
最後に全体の流れを確認しながら、不足している情報を追加したり、逆に不要なシーンを削除するなどして各シーンにメリハリを付けていきます。
情報の出し方を工夫するために、シーンを見せる順番を入れ替えたりするのも効果的です。
こういった並べ替え作業を行うには、アウトラインプロセッサが便利です。
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管理人が使っているアプリ
僕はプロット作成に以下の3アプリを使っています。
それぞれ「マインドマップ」「アウトラインプロセッサ」「小説エディタ」となっており、
- EdrawMindでアイデア出し
- Workflowyで並べ替える
- Scrivenerで箱書きに落とし込む
こんな感じの流れで構成を決めていきます。
短編の場合は、シンプルにWorkflowy→Ulyssesで執筆まで行ってしまいますが、ある程度のボリュームがあったり設定や伏線が複雑なストーリーは、上記の手順でしっかりと骨組みを作ってから原稿を書き始めるようにしています。
このあたりは個人個人の執筆スタイルや好みに合わせて使いやすいアプリが異なってくると思うので、いろいろ試してみるのがおすすめですね。
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「逆プロット」のすすめ
プロット否定派の方におすすめなテクニックが「逆プロット」という方法です。
これは書いて字のごとく、プロットを原稿執筆前ではなく、ひと通りの原稿を書き上げた後で作成するというものです。
原稿を↑で紹介した手順にしたがって分類・要約していくことで、プロットに戻していくというわけですね。
こうすることで、物語を体系的に整理し直すことができ、足りない情報の補足や、より効果的なシーンの追加・削除といったことが行いやすくなります。
プロット否定派だけでなく、プロットを練るばかりでなかなか原稿が書き出せない人にも、この方法は有効です。
プロットは守らなくていい。
プロットを作ると執筆が窮屈になったり、ありふれたストーリーしか書けなくなってしまうという人は、一つ大きな勘違いをしているかもしれません。
プロットはあくまで目安であり、厳密に遵守する必要は一切ないのです。
書いている途中で新しいアイデアが浮かんだり、「こうしたほうがもっと面白くなるかも」という展開を考えついたら、プロットからどんどん脱線していっても全く問題ありません。
せっかく練り上げたプロットを反故にしてしまうのはもったいなく感じるかもしれませんが、そこから紡がれていく物語は紛れもなくそのプロットがあったからこそ生まれたものです。
そういった新しいアイデアが出てくるのも、事前にプロットを作成する中であれこれと物語について考えを煮詰めたからですし、プロットの役割はあくまで「目安」でしかありません。
むしろプロットは積極的に壊していくものと考えたほうが、どんな物語が生まれるかワクワクするかも。ぜひお試しあれ。