こういった悩みをお持ちの方のために、文章記号(約物)の基本ルールや使い方をまとめてみました。
句読点や括弧といった文章記号(約物)には厳密なルールが存在します。
ごく基本的なものくらいは学校で習ったはずですが、細かな規則なんて覚えていない(そもそも習っていない)ですよね・・・。
ブログやSNSなどの文章では、それほど気にしなくてもいいかもしれません。
しかし、ビジネス文書等で記号を用いる際に正しい使い方を覚えておかないと、仕事で恥をかいたり、書いた文章が信頼されなくなる恐れもあります。
そんな方のために、一般的な文章でよく使われる文章記号について、読み方や使い方などの基本ルールをわかりやすく解説します。
この記事を読めば、トンチンカンな文章を書いて失敗しないだけでなく、ルールを把握したうえでより魅力的な文章が書けるようになるはず。ぜひ最後までご覧ください。
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文章記号の読み方・意味・使い方【25種】
、(読点・テン)
明確なルールはないと言われている読点ですが、しっかりとルールが存在します。
読点を打つ主な箇所は以下。
- 主語・題目の後
- 時節の後
- 接続詞・逆説の助詞の後
- 原因・理由・条件・制限などを表す語句の後
- 語や文を列挙(並列)する際、それぞれ要素の後
読点には、関係が深い語句と浅い語句を分離するという目的がありますので、他にも読み間違えそうな箇所があれば適宜用いるようにしましょう。
。(句点・マル)
文章の最後に打ちます。こちらは読点よりも扱いが比較的簡単ですね。
注意点としては以下の3つ。
- 感嘆符(!)や疑問符(?)の後には使わない。
- 括弧の中には使わない(※括弧の内容が文全体にかかる場合を除く)
- 文末に括弧が来る場合は、括弧の後(外)に句点を入れる。
,(カンマ).(ピリオド)
公文書などの横書き文章では、句読点の代わりにカンマとピリオドが用いられます。
違和感を覚える方も多いかもしれませんが、そもそも日本語の句読点は欧文の句読法を参考に作られたとも言われているので、こちらのほうが正しい用法とも言えます。
!(感嘆符・エクスクラメーションマーク)
「雨だれ」ともいい、文末に用いて驚きや強調を表します。
文中で感嘆符を用いた際は、その後に空白(全角スペース)を入れます。
※公式な文書では原則用いません。
?(疑問符・クエスチョンマーク)
「耳だれ」ともいい、文末に用いて疑問や不正確さを表します。
疑問符も文中で用いる際は、直後に空白を入れます。
驚きと疑問を同時に表す場合は、「!?(感嘆符疑問符)」や「?!(疑問符感嘆符)」が用いられることもあります。
()(括弧・かっこ・パーレン)
直前の語句や文を補う目的や、関連する情報等を挿入するために用います。
原則として全角括弧を使用し、半角を用いる際は前後に半角スペースを入れるようにしましょう。
「」(カギ括弧)
文中で発言や引用などを分離する際に用います。
段落の頭を一字下げている文章でも、カギ括弧の頭は下げないようにしましょう。
『』(二重カギ括弧)
書名・作品名などの名称を表すのに用いられるほか、会話内でさらに別の発言を表したいときなどにも使用されます。
・(中黒)
複数の名詞を並列する時や、外国語をカタカナ表記する際の区切りとして用いられます。
…(三点リーダ)
文章を省略する際や、小説等で沈黙や余韻を表現したりするときにも使われます。
原則、1つでは用いず、必ず2つ並べた「二倍三点リーダ(省略符)」として使用しましょう。
―(ダッシュ・ダーシ)
文中に用いて語句や文を連続させたり、分離させたりします。
ダッシュ記号を2つ並べた「二倍ダーシ」は、1つで用いるときとは使うシーンが異なるので注意しましょう。
二倍ダーシを使うシーンは以下。
- 話題を転換する
- カギ括弧の代わりに発言を分離する
- 丸括弧の代わりに注釈・補足情報を挿入する
- 文末に余韻をもたせる
- ルビの代わりに語句の読みを示す
※三点リーダとダーシについては、↓の記事で詳しく解説しています。
-
初心者向け:ダッシュ記号と三点リーダの正しい使い方8選【小説執筆】
続きを見る
※(米印・こめじるし)
補足情報(注釈・脚注)を表現するのに用いられます。
括弧が文中にそのまま補足情報を付加するのにも使われるのに対し、米印は文中に用いる場合「※」のみで、文章の欄外にまとめて補足情報を記すのが一般的です。
*(星印・アスタリスク)
欧文で米印と同様、脚注を表すのに用いられます。※文中で注釈を書かないように注意。
使用シーンに応じて複数重ねたり、数字を付けたりもします。
#(井桁・ハッシュマーク・ナンバー)
本来は番号を表す記号ですが、最近は「ハッシュタグ」としての用途のほうが一般的ですね。
¶(段落記号・パラグラフ)
欧文で段落のはじまりを表します。
§(節記号・セクション)
欧文で文章の節を表します。
@(アットマーク)
本来は会計の省略記号ですが、最近はメールアドレスなどでも用いられているように、場所などを表す「at」の代わりに用いられるようになりました。
©(コピーライト)
著作権を意味します。変換する際は「コピーライト」「著作権」などで出てきます。
−(連字符・ハイフン)
欧文で文節や単語を連結するために用いられます。
〜(波形・波ダッシュ)
範囲(期間・区間)を表すのに用いられます。
必ず「数字」なら「数字」と、名詞なら名詞とつなぐようにしましょう。
厳密にはルールに則していませんが、弱いニュアンスのダーシとしてや、感嘆符の代わりになどにも使われるなど、意外に活用の幅が広い記号です。
’(単一引用符・シングルクォーテーション)
欧文で引用のために用いられます。
※日本語では鉤括弧を用いるのが一般的。
”(二重引用符・ダブルクォーテーション)
欧文における二重引用の際に用いられます。
※こちらも日本語では二重カギ括弧を用いるのが一般的ですが、新聞やニュース記事などで使用されることもあります。
:(コロン)
時刻表記に用いられるほか、欧文で文の区切りや例示・引用文の前などにも使用します。
;(セミコロン)
コロンと混同しがちですが、こちらはカンマとピリオドの中間的な役割で用いられます。
コロンと同様、日本語の文章ではあまり使用されません。
数字
アラビア数字の場合、
- 縦書き:奇数文字数は全角、偶数文字数は半角を用いる
- 横書き:半角で統一する
こういった使い方が一般的です。
数字を形容詞的に用いたり、訓読みする際にはアラビア数字ではなく漢数字を使用しましょう。
間違えやすい文章記号の例5つ
プロのライターなどでも間違えてしまいやすい、文章記号の誤用についてもまとめてみました。
- カギ括弧(「」)の中に句点(。)を入れてしまう ※例外あり
- カギ括弧を二重で使ってしまう(二重カギ括弧を使わない)
- 「……」の代わりに「・・・」「。。。」「、、、」を使う
- 「!!!」「???」のように感嘆符・疑問符を不必要に(しかも全角で)多く用いる
- 「—(ダッシュ)」と「−(ハイフン)」と「ー(長音符)」を混同する
こんな感じでしょうか。
そもそも文章記号を使いすぎてしまうと、それぞれの効果が薄れてしまったり、稚拙な文章に見えてしまうこともあるので、特にちゃんとした文章では多用を控えたほうがいいですね。
ルールに従うだけではNG?
ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれませんが、僕はこの記事の文章でもところどころ「ルール違反」をしています。
決まりごとはもちろん大切ですが、何よりも重要なのは、読者にわかりやすい(読みやすい)ことです。
紙の本やパソコン・スマホなど、媒体によって読みやすい文章のスタイルは異なるのが当然ですし、読者の年代や文化によってもまた違ってきます。
ライターとして仕事をしているときも、案件によって独自のルール(トンマナ)が設定されていることがあったりします。
それを「ルール上はこちらが正しいから」と我を通してもいいことは何ひとつありません。
基本的には標準ルールに従いつつ、読者やクライアントのルールに寄り添っていく。
そんな柔軟なスタイルで文章を書いていきたいですね。
読みやすい句読点や改行の使い方については別記事でも詳しく解説していますので、よろしければあわせてどうぞ。
-
句読点(、。)で改行しないのが正解?読みやすいメールやブログの書き方【横書きのマナー】
続きを見る
おすすめの文章記号ルール本
今回紹介した記号の使い方・ルールは、あくまで仕事で文章を書く機会が多いビジネスマンやライターなどが、できるだけ読者にわかりやすい文章を書くことを目的にまとめたものです。
この程度で知ったような気になってしまっては、その道のプロの方々に叱られてしまいます。
というわけで、さらに知識を深掘りするためのおすすめ本をいくつか紹介。
本格的な編集者や校正、組版オペレーター等を目指すのでなくても、仕事で文章に関わる人なら知っておいて損はない知識ばかりです。
組版の世界は奥が深すぎて、まだまだ面白そうな本がいくつもあります。興味がある方はいろいろと調べてみては?
おまけ:読みにくい「NG文章」を避けるための句読点ルール
ここで紹介するのは、厳密なルールではなく、あくまで文章を読みやすくするためにおさえておいたほうがいい句読点活用のコツになります。
句読点を使う際に注目すべきポイントは、以下の3つ。
- 一文における読点の数は2個まで
- 読点は20〜30文字内に打つ
- 句点は60〜80文字以内に打つ
文章チェックの際に、この3つのポイントに気をつけると、スッキリと読みやすい文章に仕上がります。
同じ文字数・文節間隔ばかりの文章も、それはそれで読みづらいので、適度に調節して全体のリズムを整えるようにしましょう。
文賢なら句読点のチェックも自動でできますので、いちいち文章を書くたびに細かくチェックするのが面倒・・・という方は活用してみては?
まとめ
今回は、文章記号(約物)の使い方やルールについて解説しました。
間違いがないよう正確に伝えることが前提ではありつつも、文章が果たす役割というものは、もっと多彩で奥深いものです。
読者にとって最大の利益になりつつ、書き手の意図もしっかり果たす。
そんな夢のような文章を、一緒に目指していきましょう。